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 とある村の伝承は不思議であった。
 白のシュと黒のシュという神が信仰されていたのだ。村の神職と話した際に聞いた伝承は以下の内容となる。
 白い神様は夢を見て世界を作る大いなる神あったが、それと同時に残虐で恐ろしい存在であった。
その身を捏ねて大地を作り、己の吐瀉物で海を作った。紙に描くように生命を作り、それを同じく作った化け物で殺す……など、眠っては起きるといったサイクルと同時に、創造と破壊を繰り返すのだ。
 困ったあらゆる村人たちの前に黒のシュと呼ばれる神に祈りと供物を捧げる。
 その神は、白のシュに楽しい夢を見せた。そうして眠らせ続け平和をもたらした。
 しかし、時たま白のシュの眷属や他に神が目覚めさせようとしてくる。
 それらはたそがれ……誰の顔も朧気に見える夕暮れ時に現れ、人々をそそのかすという。
 つまり黄昏より後に外を歩くモノ達は、人ならざるモノだといわれるようになった。
 善き人々は夢を見る――黄昏より後に人々が出歩くことはタブーとなっていたのだ。
だが、人々は畏れもするが――それと同時に惹かれていくのだ。
あの夕闇の先に潜む物達に。
【夕灯村・黄昏禁忌と夢信仰――『旅と伝承』筆者不明】