キャラクター紹介

物語・雪下の泥




【物語・雪下の泥】 
【金継ぎの司書長】の第二の姿。あるいは過去の思い出。
 とある雪国の領主の隠し子であった青年。表だって公表されることなく、常に幽閉塔の中か戦場の中に身を置いていた。
弱小であった領地を守るため、騎士道を捨て暗殺、諜報、奇襲、罠、使えるモノは何でも使って戦い抜いた。
そうした彼の最期は――裏切りと、山羊による世界の喰い荒らしであった。
(*定期ゲーム【ゼロの城砦】に【継ぎ接ぎの騎士】として参加していました)
(*非商業ブラウザゲーム【神こロし】、第六期に【物語・雪下の泥】として参加していました)


【第二の実】


【神こロしでのキャラ情報】


神をこロした者は秩序の立場で、戦争の者であった
男であり、20代に見える
髪は青色に染まり、赤色の瞳をしていた
中立を愛し平和の者に惹かれ、秩序を憎み戦争の者を拒んだ
白髪の緑目をした20代の男の手を取った
白色の赤目をした40代の男の手を離した

ここロ一覧

 己が生まれた場所は、山岳に囲まれた小さな領地だった。
自然がそこらかしこに残っていて。冬には、恐ろしいほどの雪が降り積もり世界を覆い隠す。
──時たまに、あの静けさのなか白く輝く雪原を夢に見ることが有る。己の足跡だけが、その白を侵す。
……それだけは、少しだけ好きだった。

父親は、良い領主だったように思う。民を大事にしていた。
大国とも、己の国の中とも、欺きながら立ち向かいながら、上手く付き合っていた。ただ、どうしようもなくその場所を守る為に色々なものが足りなかった。己が汚い手を使わなければ、綺麗なものが敵に汚される。
だから自分がそのヤクを受け取った。それだけのことだった。
 別の国の騎士物語に、子供の頃は憧れていた。しかし、それはきっと夢でしかない。
守るためには、力が必要だ。暴力が、死角が、汚泥に塗れても構わない覚悟が。
夢では守れない。必要なのは現実だ。

俺も、この場所は好きだ。兵どもの馬鹿騒ぎも、民たちの賑やかさも、自然の厳しさも好きだ。
ならば、我が身はこの地に春が来る為の礎となろう。
どのような手段を持ってしても、この場所は守り切る。

──敵をこロしながら。俺は、芽吹きを遠く夢見る。
(生まれはどうであれ、彼は世界を愛していた。だからこそ、泥を被ることを厭わない)

 ──最後の敵の首を掻っ切ると、あたりに静けさが戻った。
息を深く吐き、熱くなった身体に冷えた空気を巡らせる。
最後に言われた言葉が脳裏に反芻された、──卑怯者。神はお前らを許さない。

たしかにそうだろう。侵攻してくる敵を焦土作戦により消耗させ、奇襲や罠を持って迎撃する。
まっとうな騎士の戦い方ではないだろう。だが、我々はそういう騎士だ。
──領地を守るためならば、いくら誇りが汚れようとも死は選ばない。
隠された我々の存在は領民達の中で、御伽話のように囁かれる。
【雪下の泥】。
白い雪に隠された汚泥、夜を駆ける急襲を仕掛ける誓いを忘れた騎士達の亡霊。
──それを束ねる主は、時計塔に幽閉された悪鬼羅刹だという。

……誇りを忘れた俺は、すでに人間ではないのだろうか。
そして、いつか報いを受ける時が来るのだろうか。
それでも、今はと。
汚れた剣を考えと共に軽く振り払い、その場を後にした。
(【雪下の泥】は物語内の童話としても存在した。雪に隠された戦の亡霊、ウィルオーウィプスの亜種として。春が来るまで外に出てはいけないよ、雪下の泥が反逆者としてお前の脚を掴むのだから)

「僕ね、悪い子なんです」

 ──領地では豊穣を祈る祭りの真っ最中。自分も変装すれば大丈夫だろうと平民の格好をして出ていったことが有る。
そうすると、人混みの中でうずくまる少年が居た。
こんなにも人がいるのに、その少年は本当に一人ぼっちで苦しそうに見えた。
 その時はどうして声をかけたのだろうか?持っていたリンゴ茶を渡し、少年の話を聞いた。
言えないけれど、悪いことをしてしまったのだと。誰にも罰してもらえなくて、辛いのだと。

「ねえ、お兄さん。お兄さんは悪い人をこロす騎士様でしょう?僕のこと、こロしてもらえませんか」
「……断る。俺は処刑人じゃねーぞ。だけどお前が本当に悪いことをしたとして、罰を求めているのなら」
「お兄さんがお前のことを叱ってやるから、しっかりと向き合いな──その罪とな」
そう簡単に、死を求めるんじゃないというと──少年は、泣きそうな顔で笑った。
「叱ってくれるなら、それはとても嬉しいです。
でも。僕が本当の本当に悪い化物になったら、僕のこと──
その夢の先は、どうだっただろうか。
(意外とプライベートは砕けた口調でいたりしたり、領主内をふらついてたりもしていた。約束、これさえなければ……)

「……昔の夢を見た」
 そうぼやくと、相手は目をまん丸くしながら紅茶を差し出してきた。
……浮いているレモンの輪切りが月のように見えた。
「おや、珍しい。──【ルイン・ダウンゲイト】の夢ですか?」
「ああ、俺の夢だった。……幾分継ぎ接ぎな夢だったけどな、まあそれは俺らしいか。
丁度侵攻してくる蛮族だのなんだのを討ち倒したり、──領地の祭りで誰かと話した夢をさ」
 蛇継のカップを持ち上げる動きが止まる。……長い付き合いだからか、そういうところは目ざとくなってしまっている。
「あれ。お前だったよな」
 冬の真中に行われる、ささやかな祭りの中。変装をして、抜け出したあの時に出会い話したのは──。
そう聞いてみると、館長は目を閉じてとぼけるように答えた。
「さて?どうだったでしょうね。俺も長く生き過ぎてボケてきてますから」
「んなわけあるか、はーあ。言質をとられたってわけだ」
「ははっ。──楽しみにしてますよ」
 館長は静かに笑う。──その笑顔だけは、本当に心の奥から湧き出たもののような

「正々堂々──いつかかならず来る未来の果てに。俺をこロしてくださいね、ルイン」
(約束の続き。いつかはこの悲劇の王を倒さなくてはならない、勇者の話)