キャラクター紹介

原詩の魔女




【原詩の魔女】 
【金継ぎの司書長】の異。平行世界の同位体。
 とある世界で【魔女】と呼ばれた女。世界を変える程の大きな力を持つが、本人はそれを嫌い、隠した。
普段は森に住み、近くの村に薬を売るささやかな生活を送っていた。
しかし、森で倒れていた植物学者の青年を助け、恋に落ち――、彼を庇って死ぬときに、魔王の呪いを引き継がせてしまった。
(*定期ゲーム【ゼロの城砦】に【原詩の魔女】として参加していました)
(*非商業ブラウザゲーム【神こロし】、第五期に【原詩の魔女】として参加していました)


【異の実】


【神こロしでのキャラ情報】


神をこロした者は秩序の立場で、平和の者であった
女であり、20代に見える
髪は青色に染まり、赤色の瞳をしていた
秩序を愛し孤独の者に惹かれ、混沌を憎み戦争の者を拒んだ
黒髪の緑目をした20代の男の手を取った
白色の赤目をした10代の性別不詳の手を離した

ここロ一覧

 ……ある日、森の中で人が倒れていた。冒険者の行き倒れ、放っていくわけにも行かずに、家で介抱をした。
この辺では見かけない、白い髪の青年だった。魔物や植物の研究をしている、と聞いた。
子供みたいに煌めいた目で私の知らない遠い世界の話をしてくれた。大きな湖の話、砂の大地の話……彼にとっては、研究の説明だが、私にとっては壮大な冒険譚のように思えた。
 この森の生態系を調べたいという彼を私は手伝うことにした。
私も、寂しかったのだと思う。久々に自分の領域に踏み込んできた彼と、もっと話がしたいと思った。一緒に森を歩き、木々や生き物たちを観察する。何度も見た景色を彼は、それはそれは丁寧に観察し、スケッチや文章を書き留めていた。真剣な横顔を見るのが好きだった。そうして、発見したことを喜々として話してくれるのが嬉しかった。
 ……言葉遣いはちょっと悪かったけど。彼の生まれ育ちのことは詳しく聞くことはなかったけど、身なりや口調である程度察しはついていた。私がきちんとした言葉遣いや動作を教えると、それも一つ一つメモを取ってながら歌うように反芻していた。
 幾日も幾日も、私たちは共に暮らしてきた。
 彼は紅茶を飲んだことがなかったので、初めて飲んだ時とても興奮していた。何事も勉強ですからと、紅茶の淹れ方やお菓子の作り方まで聞いてきた時はつい笑ってしまった。つられて彼も、笑い出す。とても幸せだった。


 でも、……彼を早く帰してあげるべきだった。そうすれば、そうすれば……
 ごめんなさい、ヘビツグ。
(幸せだった頃の話。彼――黙頭 蛇継との)

 私の家は、代々【魔女】と呼ばれる一族であった。
伝承によると、魔女の紅い血は世の万象の理を弄ることが出来、はるか空の神々の世界を見通すことの出来る目を持つ。
古く、廃れ、既にお伽噺の域にあった一族の、いわゆる先祖返りが私だった。
視界には世界を綴るペンと文字が見え、己が世界という舞台で演じる役者だと知り、その文字を塗りつぶすように血を擦り付ければ、文字が書き換えられ、願ったことが形になる。
 私の親は、その力を知ると都市からずっと離れた森の奥へと移り住んだ。優しい両親であった。幼い私に、大きな力を使うことはどれだけの影響、責任を伴うのかを切々と説いてくれた。その御蔭で、私は化物にならずに済んだのだろう。
 私は、大人になるに連れて力を忘れて生きて行くことを決めた。万象は、神の手に委ねたままにすべきなのだ。自分の都合で、書き換え続けたらどうなってしまうのかもわからない。悲しいこと、憤ることもあったが、私はなんとか平穏な生活を維持していた。
親が病気で亡くなってからは、私は森の奥で暮らしている。森のなかで薬草を摘み、薬や香を調合し、それを近くの村に卸していた。村に住むことも一時は考えたが、万が一のことを考えると人に迷惑のかからない此処のほうが良い気がした。
 村の噂では、国が隣国と戦争になるのではないかという事や、軍が兵器の研究に力を入れていること、……魔法の兵器運用を考え始めていること……。

 私は、穏やかな今の生活が好きだ。在るが儘、育つ自然が好きだ。
 ……どうか、戦の火の粉が慈しみや優しさを燃やし尽くさぬことを願う……
(彼女の能力。下位の世界としては最上級の書き換え能力である。【時雨ディータ】と似ているが、彼女のは群を抜いて強かった)

 最後の最期で覚えているのは、ヘビツグの歪んだ泣き顔だった。
そんな顔しないで欲しかったのに、あの綺麗な瞳で笑っていてほしかったのに。

 最期の頁は損傷が激しく、私の記憶も欠けている。

 たしか……国が戦争を始めてから数年、軍は魔法に関するモノを収集するようになった。書物も、道具も、人々も。なにもかもが攻撃の為に……使われていった。戦局が怪しくなってきたころには、国は魔法という存在にますます縋るようになっていった。魔女と呼ばれた一族も、論外ではなく。
 私の家に国の兵士がやってきたのだ。御身の力を国へと捧げよと。ヘビツグは、私を連れて逃げた。私の能力の話はしてあった、ヘビツグはそれでも私と共に居てくれた。
 私は、逃げている間……理解してしまっていた。世界を構築する文章が、私達の結末を物語っていた。
 「ヘビツグが死に、わたしは生きる。生きた者は、世界を呪う存在になってしまう」
 彼が死ぬことだけは、私は許せなかった。だから、とっさに、あの軍人の刃が光ったとき……力を使ってしまった。
 ---ヘビツグが生き、わたしは死ぬ。 変えられるのは、ここまでだった。
その時の私は、彼が生き残れることだけをひたすらに考えていた。だから、世界を執筆した人の思惑に気づかなかったのだ……

 ---生きた者は、世界を呪う存在になってしまう。
 呪われた焔は、観客を楽しませる---  彼の悲劇の引き金が、私という存在なのだ……
(最初から、こうなる運命であった。演出家は手を叩いて笑った、これにて悲劇の王の始まりだ!と)

 「……」
 さあ、と温かい風が前髪を揺らす感触でルイントールは目を覚ました。
周りを見ると、図書館の中ではない---夢の中の場所だ。ルイントールは、何故か確信を持っていた。
森の中の庭園、煉瓦造りの地面や黒い柵が植物達を整頓させ、葉や色とりどりの花々が、己の美しさを誇っている。
そして、目の前には美味しそうな焼き色のついた菓子の盛り合わせとティーセットが置かれた白亜のテーブル。所謂お茶会、の用意がされていた。
 「あら、起きたのね?いや……眠った、というべきかしら」
 「……マヤ」
 声のする方に目を向けた。そこには、自分と同じ顔つきをした女性が紅茶の飲みながら座っていた。顔付きが同じと言えど、違う所は多々ある。例えば、腰まで伸びている髪の長さ、ドレスから僅かに見える柔らかな女性の肢体、淑やかな物腰。
しかし、ルイントールと同じ赤眼と金継ぎの跡が彼女には有る。
 マヤウェル・アップルゲイト。それが彼女の生前の名前だ。魔女の一族、そしてルイントールと同じくバラバラに壊れた物語の一つである。ルイントールが図書館で生きるようになってから、彼女とは夢で話すようになっていた。
いかんせん最初は戸惑ったが、今では色々慣れたものだ。ルイントールはマヤウェルから紅茶を受け取りながら軽くため息を付いた。
 「お前、こっちに出てきただろう。気絶なんてしたからビックリしたんだぞ。……身体を使うなら、一声かけろよなあ」
 「ふふ、ごめんなさい。新しく入った女の子、あの子に一声掛けたくてね」
 「ディータか」
 図書館に迷い込んだ、一人の少女。マヤウェルは心配しているのだろう、彼女の物語の行く末を。自分たちのように、間違った終りを迎えることを。
 「大丈夫だ。今回は俺達や皆がいる。バッドエンドなんかにはさせてたまるか」
 「うん……」
 そうね、と優しく唇を噛んだ彼女に、ルイントールはそういえば、と疑問を投げた。
 「……アイツには、会わなかったのか」
 それを受け止めたマヤウェルは、目を伏せた。胸の辺りで手を包むように握り、眉をしかめた。
 「……会ったら、あの人。きっと戻れなくなる。私が出てはいけないの、私が……」
 「……、そうか。マヤがそう言うのなら」
 祈るように、マヤウェルは言った。
 「お願い、私の共犯者。ヘビツグをよろしくね」
(二人だけのお茶会。外にマヤウェル自身が出ることは稀である。それだけディータに期待をしていたのか、あるいは自分と同じ能力だからこそ心配をしたのかも知れない)